眼はどこも悪くなく、適切な眼鏡をかけても視力が悪い状態を弱視と言います。眼鏡をかけても視力は正常になりません。普通は片眼のみが弱視のことが多いのですが、両眼の強い乱視の場合は、両眼の弱視になります。両眼に先天的白内障があったり、角膜が濁ったりして視力が発達せず、手術をして光が眼の中に入るようになっても視力が出ない場合は器質的弱視と言いますが、ここでは触れません。眼の中に像がうつり、それが脳の中枢に伝わり、物の形・色を判定するのですが、眼の中に像がはっきりむすばれない状態(強い遠視や乱視、左右の眼鏡の度が違いすぎる時)では、悪い方の眼の視力が出ません。視力は生後2才頃までに急速に発達しますが、その後も8才過ぎまで向上します。弱視の治療は幼少の程、短時間で効果がありますが、8才以降でもまだ改善されます。
治療
1) 眼鏡が必要な場合は年令を問わず、掛けていただきます。眼鏡をかけても視力は良くないのですが、これにより網膜に外界の像がはっきりうつります。これが刺激となり、脳の中枢の発育を正常化します。
2) 良い眼をふさぎます(健眼遮閉)。
治療前は両眼があいていても視力のない眼(弱視眼)は全く使用していません。これまで使わなかった眼を使わせるようにするには良い眼(健眼)をふさぐのが最も効果があります。年令や弱視の程度により1日2時間から1日中、健眼をアイパッチや眼帯でふさぎます。視力の回復には6ヶ月〜2年かかります。
3) その他の治療
両眼視力の差が少なくなると点眼剤で健眼をみにくくしたり、半透明の膜を健眼の眼鏡にはったりします。
成績
斜視や乱視、遠視、眼瞼下垂などによる弱視は、根気よく遮閉をつづけますと視力が0.8〜1.0以上に回復します。大切なのは御家庭で遮閉をつづけることです。
視力の回復には6ヶ月〜2年かかります。
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