斜視

   
       
 

A 子供の斜視

両眼の視線が合わなくなる状態を斜視といいます。このため片眼ばかり使うため寄っている眼の視力が弱まり(弱視)、遠近感や立体感がなくなります。乳幼児期には視力、遠近感、立体感などの両眼視機能が発達します。この時期に常時斜視があり、両眼を一緒に使わないと大きくなってから斜視を治しても両眼視機能は回復しません。一方視線が合っていることが多い時々斜視になる幼児は、斜視でない時に両眼を使っていますので、両眼視機能はある程度発達します。弱視になっても軽くてすみます。常時斜視になっている幼児は早い時期に、遅くても2才頃までに治すことが肝要です。時々しか斜視にならない場合は手術は急ぎません。乳幼児に多い斜視は乳児内斜視・遠視の眼鏡を掛けると斜視がよくなる調節性内斜視・及び時々眼が外方に寄る間歇性外斜視です。

(1)乳児内斜視

生後6ヶ月以内に斜視がみられます。常時眼が大きく内側に寄っています。左右の眼を交互に使うため、両眼を同時に使わないので立体感や遠近感はありません。2才頃までに手術をすると正常に近い両眼視機能が出来るようになります。当医院では1才前後の早期手術をすすめております。早期手術により両眼視機能の発達が良くなると考えているからです。全身麻酔下日帰り手術をいたします。入院の必要はありません。

(2)調節性内斜視

乳児斜視が生後6ヶ月以内に発症するのにくらべ、調節性内斜視は、小さなものを見つめるようになる2才前後に発症します。最初は時々眼が内側に寄りますが、正常のこともあり、眼の位置は一定しません。それが次第に寄りっぱなしになります。遠視が原因です。遠視の眼鏡を掛けると斜視が軽快します。ただし、眼鏡をはずすと斜視は元のままです。遠視は成長とともに軽くなりますので、それに応じて眼鏡の度を下げる必要があります。遠視がなくなると斜視も自然になくなります。一部の患者さんでは、遠視の眼鏡で斜視がなくなりますが、いくらか内斜視が残ることがあります。眼鏡で治らない部分は手術で治療します。
乳児の斜視の手術は全身麻酔下で行います。手術時間は15分〜40分くらいです。札幌医大では15年間(1976年〜1990)で斜視手術を3443例行いました。生命にかかわるような合併症の経験はしておりません。2例は悪性高熱(麻酔をかけると高熱が出る)のため手術は出来ませんでした。術後に疼痛・悪寒・嘔吐をはじめ時に興奮することがありますが、術後1時間程度で落ちつきます。手術後2時間で水が飲め、歩行がしっかりすると帰宅出来ます。

(3)その他の斜視

※ 外斜視は間歇性(時々外斜視になる)であれば、両眼視機能、視力の発達は良好なので、手術は急ぎません。集団生活を始める前に治すことをおすすめします。斜視がお子様の精神的な負担になることが少なくないからです。野外でウインクするように片眼をつぶるのは間歇性外斜視の特徴です。

※ 斜頚(首をまげて物を見る)はその多くは首の筋肉の病気か眼を動かす筋肉の麻痺が原因で斜頚になります。眼筋の手術で斜頚が治ります。

 

 
 
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